両親が共働きで鍵を持ち歩く“鍵っ子”。
「ちょっと待っててね」と言われて、車内でひとりで留守番。
近くのコンビニやスーパーまで、はじめてのおつかい。
私たちの多くは、こういった経験を経て育ってきたのではないでしょうか。
捉え方によっては“自立”であり“成長”。大人への第一歩とも言えるかもしれません。
でも、実はこれらすべて、ハワイ(アメリカ)では犯罪行為とみなされることをご存知ですか?
ハワイで独自に定められているハワイ州法によると、12歳以下の子どもを一人きりにすることは法律違反となり罰金が科せられるのです。
ハワイ州が制定した、子どもを「守る」ための法律
ハワイ児童虐待法を見てみると、以下のような記載があります。
児童虐待法が重大な危害から子どもを守ることを目的として制定された側面がうかがえます。
Child abuse is broadly defined as when a parent or caretaker emotionally, physically, or sexually abuses, neglects, or abandons of a child.
(訳:ハワイでの「児童虐待」は、親または介護者による精神的・肉体的・性的・放置・または放棄などというように、日本でのイメージよりも広く定義されています。)
また、“放置”の定義も幅広く、家での留守番や街中を一人で歩くことなど、12歳以下の子どもが「一人きりになること」をすべて禁止しているのだそう。
どのくらい厳しいのかハワイ在住者の方にお話を伺ってみると、こんな回答が得られました。
「日本だと、ショッピング中におもちゃ売り場や携帯ショップに子どもを放置する光景をみかけますが、アメリカでは考えられません。車中に子どもを残したままちょっと買い物、というのももちろんNGです。
また、学校の送り迎えも親が同行しています。そのため、小学校の登下校時間になると、学校周辺の通りは渋滞になります」
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ハワイ州、さらにアメリカでは、児童虐待による事件や事故が頻繁に起こっています。
先ほどの出典資料によれば、毎年300万人を超える児童虐待が報告されており、関わる子どもは約600万人と言われています。また、毎日 4〜5人の子どもが児童虐待・育児放棄などによって帰らぬ人となっているのです。
児童虐待によって傷つく子どもを増やしてはならない、という理念の元で制定された法律です。この法律は、日本でも見習うべき点があるのではないでしょうか?
考えてみると日本にとっても必要な学びが多くあるように感じられます。
日本は本当に安全な国なのか
日本はよく「安全な国」、「治安の良い国」と賞賛されることがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。
今回テーマとして取り上げた児童虐待を例にとって見てみましょう。
今年8月、日本経済新聞によって発表されたデータをみると、虐待の相談件数は年間12万件を超えています。
これは、統計を取り始めた1990年から比較すると、26年間で約120倍もの増加となっているのです。
また、同紙によると、日本ではさらに誘拐やSNSによる犯罪など、未成年が事件に巻き込まれるケースが急増していることも挙げられます。
虐待に対する日本の法律は、ハワイと比べてしまうととても緩いものです。
被害件数の増加を考えると、法律のあり方に疑問を持ってしまっても不思議ではありません。
「日本は安全だから」
本当にそうでしょうか? 今一度考え直す必要があるのかもしれません。
その法律は、なんのために?
「法律だから」「罰金を取られたくないから」といった理由で子どもを一人きりにしない、それはもちろん必要なことかもしれません。
ただそれだけではなく、私たちはこの法律が制定された本来の目的に目を向ける必要があるのだと感じます。
ーー「愛する子どもを事件や事故から守るため」
ハワイ州で法律が制定された理由は、子どもたちを少しでも危険から守るためなのだと考えるのが自然でしょう。
安全だと言われる日本ですが、子どもが事件に巻き込まれるケースは決して少なくありません。
ハワイの法律は、家庭での子どもとの接し方を考える契機になるのかもしれません。
参照記事:
http://statelaws.findlaw.com/hawaii-law/hawaii-child-abuse-laws.html
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG16HA5_X10C17A8CC0000/
http://www.orangeribbon.jp/about/child/data.php